名古屋でビジネスするのは難しいか?

名古屋でのビジネスは難しいと、昔から言われています。それには、理由があります。@閉鎖的、排他的なこと、A保守的で、そこだけで生きていゆける生活共同体があること、B堅実で、製造業などが主体の経済圏であること、が理由にあげられます。たとえば、東京の企業が優れた商品を持って、名古屋の企業に売り込みをします。「素晴らしい商品ですね」と言われて、即契約かと思いきや、そうはいきません。名古屋の財界の○○さんの紹介状をもらうか、名古屋に本社を置く□□商社を通して出なければ取引できませんと言われてしまいます。もちろん、今ではこの商慣習もずいぶん薄れてきましたが、ついこの前まではこれが名古屋の常識でした。やりにくい土地柄だと思われるかもしれませんが、これって日本そのもののように感じませんか。

日本は、明治まで鎖国が続き大陸と離れていることから島国根性が今も残っています。鉱物資源に乏しく、輸入した資源に付加価値を付けて製造販売するしか方法がありませんでした。そのうえ、単一民族ゆえ、日本の中だけで一生を過ごす人がほとんどです。つまり、名古屋というのは日本の縮図のようなものです。だからこそ、名古屋で物を売ることが出来れば、日本中どこでも通用するようになります。難しい商圏だからこそ、普通の売り方をしていては通用しません。そこまでやるかというくらいの営業力が必要になります。これも、名古屋が今注目されている理由の一つのように思います。


名古屋から世界への東京飛ばし

東京が、海外への最前線であるということは昔からの話ではありません。明治以降の東京における近代国家体制の確立、昭和の東京への経済一極集中を経て、周辺の意思決定が東京において行われるようになってからのことです。

バブル崩壊以降、外資企業がアジアの拠点を東京にではなく、香港やシンガポール、上海等に置くようになり「日本飛ばし」(Japan Passing)と言われる現象が起きています。ただ、最近は日本の外側からだけでなく、内側からも「東京飛ばし」が始まっています。東海地区ではメーカー各社のアジアへの生産拠点・販売拠点移転が進むとともに、中部国際空港の整備で直接の接点を広げようとしています。名古屋港の輸出入総額は、2001年から日本一です。かつては産業空洞化も心配されましたが、アジアとの直接の接点が増えることは多くのメリットがあるように思います。名古屋大学は、アジアからの留学生が日本で一番多い大学なのだそうなのです。産学連携による研究開発・事業化にアジアからの留学生、ビジネスマンは大変良い刺激を与えてくれます。ただ日本政府は、外国人の流入、とくにアジア各国からの流入には失礼なくらい厳しいというのが現状です。