名古屋のお土産文化

お土産は食べきれないくらい渡すものだと名古屋近郊で古から商売をしている人が言うことがあります。ありあまるお土産で、余った分は、流通させることで、それによって人と人とのつながりの輪が広がり、心は豊かになります。名古屋の結婚式の引出物の豪華さは有名で、両手にあまる引出物の袋は持ち帰りの手間など一切考えられていなくて、よその人には滑稽でさえあります。しかし、これは本来しあわせのおすそ分けを意味します。お土産はありまってこそ、伝えたい情報をより広く伝える口コミ手段となり、人間関係の輪をより広げるツールになります。それは、単に儲かったという近代的感覚以上に人々の心に眠った太古の記憶を呼び覚まし、大漁、豊作のような喜びすら感じさせます。

名古屋は都会と田舎の両方の側面をあわせ持つ偉大なる田舎都市です。都会の悩みは何でも貨幣換算されて、人と人とのつながりさえ取引関係に置き換えられるかのような点にあります。田舎は田舎で人間的なつながりは密ですが貨幣があまり回転せず停滞する悩みを持っています。だからこそ、ありあまるお土産的存在は人や物の交流をもたらし、長い信頼やつながりを生む源泉となって都会と田舎のいいところを併せ持つ豊かな社会を実現してくれます。名古屋の奇妙にさえ思える商慣習は、実は現代社会の矛盾を解決するのかもしれません。

おまけ文化

名古屋の喫茶店では豆菓子がついてきます。コーヒーを頼むと必ずついてくるおまけです。当たり前についてくるので、ないと逆に少しがっかりします。また、ガソリンスタンドに入っても、灰皿はよろしいですか?、窓ガラス拭きますか?などいろいろなサービスをしてくれます。おまけは、お客様に驚きがあってこそ意味があります。驚きがないおまけは商品の一部であっておまけにはなりません。つまり、驚きがないおまけはお客様にとっては当たり前であって、お客様が喜ぶプラスポイントにはなりません。

このように、おまけやプレゼントのたぐいを企画する場合、競合他社はやっていないか?、成約する前は決して口にせず広告もしない、それはもらって嬉しい商品(サービス)か?を考え、検討する方がよいです。そうでなければ、せっかくの企画が驚きがないものになってしまい、次の瞬間に忘れさられてしまいます。おまけは驚きを演出してこそ、ウワサになり、リピートや紹介につながるのです。